月一回のスペシャルでワンダホーな時間

2024年2月から月に一回、愛知医科大学付属病院からリハビリテーション科の尾川教授に来ていただき熱い指導を受けています。9:00~12:00の3時間ですが個別指導やお悩み相談、講義がありぎゅぎゅぎゅっと中身が濃い内容です。
まず、個別指導について詳しく説明をしていきます。PT・OT・STで悩んでいる患者さんや対象者さんが居たら実際のリハビリテーション場面を見てもらい助言をもらいます。訪問リハの対象者さんを連れてくることは難しいので、同意をもらって撮った動画を見てもらうか情報を集められるだけ集めて教授に伝えます。そうすると、まず悩んでいたことが解決されます。それ以外にもっとよくなっていく方法について教えてもらえます。リハビリテーション専門職だけでは気が付けなかったことや結び付けられなかったことについて教えてもらえ学びにつながります。

次にお悩み相談ですが、リハビリテーションに関係すること以外にも医学に関係することであれば悩みを聞いてもらえ解決に至ります。例えば、人工呼吸器を装着されている方に対してリハビリテーション介入で悩みがあり、PT・OT・STがどういった介入をしていけばウィーニングに繋がるのかといった質問をしました。ホワイトボードとペンを使って分かりやすく解説していただき、合点がいきました。教えてもらったことをST内でウィーニングに対する考え方が大きく変わった瞬間でもありました。
講義では、リハビリテーションをするにあたって必要な知識として「療法士がこれだけは見えるべき血液データ」や「知って得する心電図」といったことを教えてもらっています。いままでなんとなく見ていたデータが繋ぎ合わせられ、医師に相談しながらではありますが、今まで、どうしよっかなと悩んで離床させていなかったような患者さん対象者さんでも運動を提供できるようになりました。

※講義中の写真です。業務時間内なので難しいですが、多くの人が聞けるように調整しています。養成校から来ている実習生さんも一緒に聴講しています。

個人情報の観点からぼやかしながらではありますが個別指導の内容について少しだけ紹介をしていきます。

・脳卒中を3回発症し急性期治療を終えてリハビリテーションが開始した方です。運動麻痺がある側の肩が挙がらないことを主訴としている方でした。療法士の悩みとしてはある一定の角度から痛みがありそれ以上挙げていくにはどうしようかなとなっているところで相談となりました。教授の回答としては、身体の状況を確認した後に運動麻痺の影響による可動域制限というよりは以前より何かの影響ではないかということでレントゲンの確認をしたところ腱板損傷が疑われる所見がありました。そこから優先順位を設定してもらい肩ももちろんですが、再発を防ぐような運動や習慣をつけていくことについても助言をもらいました。今では自主トレを頑張っており入院中の運動習慣も身についてきているので、退院後も習慣化できるように家族や友人も含めたチームアプローチで画策している最中です。

・THA術後に別場所が折れてしまいロングプレートが大腿にあるような方です。痛みが強く荷重をかけた訓練が進められませんでした。かといって住宅環境から改修は難しく、このままでは住み慣れた家や地域で生活ができなくなるかもしれないと悩んでいました。できることなら希望している自宅復帰、且つ尊厳を全うした生活を提供してあげたい。そこで尾川教授に相談をしました。レントゲンを確認し、痛みが強いことについて理解をしたなかで鍛えるべき筋肉を詳細に設定していただけました。整形外科医や内科医とも相談しながら服薬を変更し痛みが減ってきたところで歩行訓練が開始できましたが、そこから退院までが早く最後にはT字杖歩行屋内自立で退院となりました。チーム内では退院支援に難渋し長く入院してもらわなくてはならないかもと焦っていましたが、早期退院ができて本当に良かったと思っています。これはリハビリテーション科医による助言が大きい所と思われます。痛みが減ってきていても荷重をかけたときの支える筋肉が適切に鍛えていなければ歩行難易度の切り替えが遅れてしまっていたと思うと冷や汗がでます。

月に一回と頻度や時間は少ないかもしれませんが、助言や指導を貰えると疑問が解決され知識獲得にも繋がっています。今までは同僚と話をしたり、書籍を読み漁ったり、研修に参加して知識や経験を貯めていたつもりでありましたが、リハビリテーション科医と話をすることでより洗練されていっていると思います。

教授がよく言うのは、調べたり勉強したりでも同じように知識は身に付くが、リハビリテーションにはスピード感も重要になるためどんどん聞いてきて良いということです。お医者さんというと存在感が大きく、おいそれと話しかけても良いものかと一人問答をしてしまいがちです。しかし、教授からこうやって声を掛けてもらえていますので、積極的に質問出来ます。

今後も来院予定のため、教えてほしいことや分からないことは積極的に聞いていこうと思っています。

文責 松井健次