地域密着型の施設の基準を守るため、グループホームあさひでは、毎年5月と10月に避難訓練と通報訓練をおこなっています。
BCPとは災害が万が一生じた際重要な業務を中断させず、出来るだけ早く復旧させるための計画の事です。今回の避難訓練は災害が生じた際に大切な業務の一つである利用者様への食事の提供を滞ることなくおこなう為の訓練も一緒に行ってみました。

【想定訓練】

10月9日午前10時から12時で訓練を行いました。
訓練概要は今“流行り”の具体的想定訓練でおこないました。「夜間帯に地震が生じ、居間のテレビから出火した」というもので、日頃出入りしている通路出口は使用ができない想定です。 建物の構造上、あさひではA棟とB棟の2ユニットにわかれており、居間を中心に左右に利用者様の居室が分かれています。今回は中央の居間から出火して天井まで火が回っているという具体的な内容で訓練となりました。
そのような想定で消防署に連絡したところ、「火の手が大きいので消火をせずにまずは利用者を素早く非難させるように」と指示がありました。
B棟は非常口が近くにあり、皆を安全に外に出し避難することができました。しかし問題はA棟です。火の手と煙が巻いているという状況なので中央にある居間を回避し、非常口を使わずにA棟側の居室の掃き出し窓から避難することになりました。自己にて移動できる方は掃き出し窓を跨いで外へ避難すれば良いのですが、一人で身動きが難しい方はこの避難方法はハードルが高く、難問となります。更に夜間で夜勤者2人しかいない状況での想定です。これが本来のリアルであれば、利用者全員を避難させるには必ず追加で人手が要ります。
どうしたらいいか……今回はご近所でお隣の後藤さんに前もって避難訓練に参加を依頼していました。協力なお助けマンが3人おられたことで多くの利用者が安全に避難誘導するよう助けていただけました。
特に貴重な経験として得られたのは、職員2人とお助けマンの合計3人で身体をあまり動かすことができないような方を3人がかりで抱え、窓の外に出された車椅子に移乗し安全な場所まで避難する想定訓練ができたことでした。災害下では時として普段には考えもしない状況で介護しなければならない現実の厳しさを予知する訓練となり職員の身を引き締めるものとなりました。
また今回の避難訓練で改めることができた認識は、いざ災害が起きたのなら同一法人の中だけでなく「時には近隣住民の助けを得ないと早急に利用者の安全の確保が難しいこともある」ということでした。そのため日頃から避難訓練などにご協力をお願いすることや「地域とのかかわりを深めていくことの大切さ」を学ぶことができた貴重な機会となりました。
【防災食】

今回の避難訓練と兼ね合わせて行った訓練にBCPの炊き出し訓練がありました。いざ大地震が発生した際、水や電気が2、3日復旧するまで利用者さんの安心の生活を支えるために食事を滞りなく提供しなければなりません。あさひではBCPの対応策として利用者の2-3日分の食糧の提供ができるように、ローリングストックを行っています。今回はそのストック食材を利用し水や電気が使えない想定でカセットコンロを4台使用したカレー作りを体験してみました。
災害時では水は大変貴重となります。なので実際の炊き出し同様今回は、コメをとがずにアイラップにいれ水をそのまま袋にいれ、沸いたお湯に袋を浮かべてご飯を炊くという方法を試してみました。意外とコメが匂うことなく食べることができ、うまくご飯を炊くことができていました。
また野菜は切ってそのままアイラップに入れ、火が通ってからカレールーとお湯を入れ、袋を軍手をはめたまま揉んで潰すという方法の調理を試みました。意外と熱く、軍手も2枚重ねが必要と体験からわかったこともありました。


これらの作業は利用者、職員、訓練参加の住民の方協力のもとで行っていただきました。今回はお肉の使用せず、ツナ缶と野菜を使用したものでしたが、味はレトルトよりも美味しいと好評でした。 又、盛り付けた皿はラップをあらかじめ敷いたものを使いカレーを盛り付けました。水を節約するため洗い物を少なく災害下と同じ仕様で行なってみましたが、ラップの使用が足りなかったためか、器が汚れることが見られ、いざ対応時の注意点も今回の訓練から知ることができました
【災害は忘れかけた頃にやってくる】
ここ数年で施設が豪雨や地震など自然災害に巻き込まれたニュースを大変多く耳にしてきました。
被災という困難な状況下でも業務を継続させるために、寝る間も惜しんで業務を続けていたスタッフの涙ぐましい姿勢も報道されており、いち情報として私たちは知っています。
ただ“知っている”のでなく、「もし、被災したらをどのように事業を継続していくか」を知っている職員として、成長していく必要があります。
そのためには今後も人々の生活や命を支える支援をする同業者として、被災のことを決してよそ事にとらえるのではなく、自然災害の恐ろしさを教訓として学び常に備えを怠らないグループホーム、その職員として努力していきたいと思います。
文責 グループホームあさひ管理者 小野木


