こんにちは、臨床心理士の三輪と申します。
私たちは、この1年半、未知のウィルスと向き合ってきました。手探りの中、みんなで力を合わせながら、一つ一つ経験を積み、今できることを行いながら不安を解消するということをしてきました。今回は、それでもなお消えることのない不安について、一緒に考えていきましょう。
まずはおさらい…。
【「感情」の役割って何?】
■身体感覚が危険を知らせる
⇒熱いと感じるので、手を引っ込めて危険を避けることができる。
⇒痛いと感じるから治療を行うことができる。
こんな風に、「感覚は」私たちを危険から守ってくれるもの。
「熱い!」「痛い!」と言う身体の「感覚」が身の危険を知らせてくれるので、あまり余計なことを考えなくても、素早く適切な行動がとれる。
身体感覚は「その状況が自分の身体にとってどういう意味を持つか」を教えてくれるもの。
■感情にも「心を守る」機能がある
・怒りがわいてくるから、自分が傷ついたことが分かる。
・悲しい感情が湧いてくるから、癒される体験がある。
感情は「その状況が自分の心にとってどういう意味を持つのか」を教えてくれるもの。
【 不安との付き合い方 】
■「不安」の役割を知る!!
○ズバリ、「安全ではない」というサイン!!!不安という感情の本来の役割は「安全が確保されていない」と私たちに知らせることです。⇒だから、対策が立てられる!!!
不安によって安全が確保されていないと知った場合、安全が確保できる準備をしたり、回避したりすることができます。不安も人間に備わった感情である以上、意味のあるもの!!ととらえ、「不安」と上手に付き合えるようになりましょう。
■「解消できる不安」と「感じるしかない不安」がある!!
★解消できる不安とは?
『未知』=『不安』 ⇒ 対策:感染知識を得て、感染対策を実施する。体調管理を徹底する。
ワクチンの知識を得る、現状を把握する ets
⇒ 『既知』
*この行動は不安を和らげるという事ばかりではなく、不安本来の役割を見事に果たしていると言える。
★感じるしかない不安とは?
しかし、いくら調べておいても、感染対策を徹底しても、感染するかもしれない…。その時の状況次第で「何が起こるか分からない」ということもある。この不安は「感じるしかない不安」です。
⇒ ある程度の不安を抱えられる強さを持ちましょう。
■未来は『未知』の連続であるわけですから、『不安で当然』!!!
1)「同じ立場に立たされたら、誰もが不安に感じるはず」ということをしっかり信じる。
2)不安に思う自分を「弱い」などと責めるのをやめる
安全が確保されていないということを知らせる感情の一つに対して、「弱い」とか「強い」という価値判断を付けるのは変な話です。
3)安心して話せる人に話してみる
不安は、人に話すことでずいぶん縮むもの。不安は人類が誰もが持つ普遍的な感情のため「不安」という気持ちはだれにでも理解される感情。だから、自分のことをよく知ってもらって、不安な時は話を聞いてもらえる人を日常生活の中で作っておく努力が必要です。
【まずは、「自分」に優しくなろう!!】
感情をコントロールしようとするのではなく、行動をコントロールするようにしましょう。
ポイント①同じ目に遭った人や分かってくれる相手に話をするようにする。
(目の前にいる相手に「分かってもらいたい」を手放す)
ポイント②体を動かす、その場から離れる。
☆落ち着いて、リラックスすれば、たいていの人は適切な対処ができるのです。
ありとあらゆる感情には意味があるため、そういう感情が湧いてくる自分に優しくなって、受け入れていくと、おのずと相手にも優しくなれます。
文責 臨床心理士 三輪小百合