当院の外来事業部では2021年より近隣の高齢者施設の職員の方と合同で研修会を行っています。今回は2022年9月に当院、言語聴覚士の宇佐見千恵子さんによる「誤嚥性肺炎の予防」について講義と豊富な体験を交えて行っていただきました。
誤嚥性肺炎の予防には、「適切な姿勢」、「適切な食事形態」、「口腔ケア」の3つが大切であり、そのどれか1つでも欠けると誤嚥性肺炎のリスクが高まります。研修では、適切な姿勢、適切な食事形態、口腔ケア、それぞれの気を付けるポイントを学びました。
適切な姿勢では、足、腰、首の位置が大切です。足底をしっかり床につけること、腰を深く引いて座ること、顎を少し引くことで誤嚥しにくい姿勢になります。研修では、実際にいろいろな姿勢で食べ物を食べたり、飲み物を飲むことを体験することで、食事の姿勢の大切さを体験出来ました。
適切な食事形態として、嚥下食ピラミッドとは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成した嚥下食の基準であり、嚥下能力に合わせて食事形態が決められた表です。食事の際に、いつまでも口腔内に食事を溜め込んだり、食物残渣が残っている場合には、食事形態が適切ではないため、嚥下食ピラミッドを参考に、食事形態の段階を下げるなどの変更が必要です。また水分のトロミの付け方についてのポイントを学びました。
口腔ケアでは、食事前後の口腔ケアが必要で、歯ブラシやスポンジブラシを使用しバイオフィルム(口腔内細菌の塊)を除去することが大切で、特に就寝中に誤嚥性肺炎が起こりやすいことから、寝る前の口腔ケアが重要との事でした。また口腔ケアは口腔機能の維持、改善にもつながります。
最近では、オーラルフレイルも話題になっており、オーラルフレイルとは些細な口の衰えのことを言いますが、進行すると、全身状態の悪化につながります。オーラルフレイルは口腔内を清潔に保つ事、口腔機能を維持することで予防でき、将来の誤嚥性肺炎を予防することが出来る事ができます。
適切な姿勢、適切な食事形態、口腔ケア、この3つに気を付けて生活して、誤嚥性肺炎を予防しましょう。
次回の研修会は12月27日に「認知症予防」を予定しております。興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
文責 診療技術部 部長 中嶋 久雄